5話迄視聴しての感想です。この手の(アイドルもの)作品は往々にして「キャラの人気を立てることを先行させすぎ」なきらいがありますが、当作品は(「『アイドル』という存在からくるもの」は当然ありとして)それがことさらに強調はされず、丁寧に話の背景を描いてくれています。主人公たちも決して天才ではありませんし、所謂”スポコンもの”と通じるものも感じ取れます。派手さはないのですが、しっかりとした作りの作品で非常に好感が持てます。是非観て頂きたい作品です。後、余談ですしあくまで主観の話ですが、万里君の「恥ずかしさから普段でもマスクを着ける」設定、制作が開始された頃合いを考えると、この設定は変更し、別の手法で万里君の性格を表現することも可能であったはずですが、そのまま放送されていることからして、今の日本に対する強烈な意趣返しの意図を制作サイドから感じます！私の信条とも合致しており、その意味では非常に痛快です。

2023/05/30

以下のレビューでは、この８０年アイドル総選挙の結果の一部について記述します。ご容赦ください。○待望の『８０年代アイドル総選挙　ザ・ベスト１００』が届いた。うれしい。○この投票は、２００人（組）のリストから１０人を選ぶという形式で行われ、一般投票参加者は３２４５人であった。このほかに３９人のアンバサダーに１０人を選んでもらっていて、一般人＋アンバサダーの投票の得点化で順位が決定されている。ただし、一般人の投票は１位が１０点で以後１点づつ下がり１０位が１点だが、アンバサダーは１位が１００点、２位９０点・・１０位が１０点という計算になっている。○全体の結果は、第１位が中森明菜で１６５４３点、２位が松田聖子で１４６２５点、３位が小泉今日子１１６８２点、４位が中山美穂で８９１９点、５位が河合奈保子の８６１７点となっている。６位が南野陽子、７位が斉藤由貴、８位が菊池桃子、９位が薬師丸ひろ子、１０位が岡田有希子で５５２９点、１１位が本田美奈子となっている。常識的なベストテンとも言えるし、ファンそれぞれの思いの反映されたノスタルジックベストテンとも言える。良いベストテンと思う。○一般投票のベストテンは掲載されていないが、アンバサダーの選んだリストは載っているので、アイドル一人ずつ計算すれば、一般投票ベストテンを作ることもできる。面白そうだがとても時間がかかりそうなので、今日は中森明菜と松田聖子に限定してやってみよう。アンバサダー３９人のうち、明菜に投票した人は２５人、聖子に投票した人は２５人と同数。得点は明菜１９３０点、聖子２０９０点になる（計算間違いご容赦）。この点数を総合点数から引くと、一般投票得点は明菜１４６１３点、聖子１２５３５点になる。つまり、一般投票だけでも、第１位中森明菜、第２位松田聖子である。○１２位から２８位までに著名なアイドル達が並び、ここは激戦である。早見優、柏原よしえ、堀ちえみはこの中にいる。２８位が宮沢りえで１４９０点。松田聖子より１桁低い。５０位が森尾由美で７７０点、９９位が小出広美で２６０点、１４４位がつちやかおりで１２０点。○２００位の兵藤まこ４点はアイドル期間が短く、声優として大成したためと思う。しかし１９９位の原めぐみ６点は、数年前にコンプリートシングルのCDも出ており、この順位はちょっと違和感が残る。でもリストの２００名全員に票が入ったのはよかった。○個人的なことで申し訳ないが、私の選んだ１０人は５０位までには入れなかった。１位に選んだ水谷麻里はアンバサダー３人にも選ばれ、６３位５１４点と健闘した。新井薫子がアンバサダーの町あかりさんのおかげで？（ほめるだけで選んでくれなかったアンバサダーもいるが）、ベスト１００（９３位２９１点）にすべりこみ、ジャケット写真と解説が入ったのもうれしい。江戸真樹は１４２位の真弓倫子をおさえて１４１位、吹田明日香は１５３位の三井比佐子にちょっと負けて１５４位。まあ、こんなものかな。○全体として、写真美しく、解説充実し、順位を見ていろいろ考えるのも楽しく、たいへん良い出来と思う。

2023/05/27

本レビューを書いている僅か1週間前の2022年1月12日に亡くなってしまったRonnie Spectorがリードを歌う名曲、”Be My Baby”。言わずとも知れた天才Phil Spectorがプロデュースをし、1963年にポップ・チャートの2位まで昇った大ヒット曲です。そのシングル盤のB面にひっそりと収録されていた”Tedesco And Pittman”という楽曲。これはSpectorが自分のレコーディングに参加してくれた二人のギタリスト、Tommy Tedesco（トミー・テデスコ）とBill Pittman（ビル・ピットマン）に敬意を払ったSpector作のジャージーなインストルメンタル曲です。本映画は、1960年代にロサンジェルスで活躍したプロ中のプロ集団であったスタジオ・ミュージシャンたちにスポットを当てたものです。Tommy Tedescoの息子さんであるDenny Tedescoが制作。父の仲間であったHal Blaine、Carol Kayeを中心に、Glen Campbell、Earl Palmer、Leon Russell、Al Caseyといった多くの一流プレイヤーたちが登場。映画と言ってもストーリー性はなく、言わば証言集と言ったものですが、1960年代のロサンジェルスで生まれた多くのヒット曲を語る上では重要な人たちばかりです。プロデューサーたちも、そしてミュージシャン同士もお互いに尊重と敬意に溢れた証言の数々。あの時代、あの場所でしか起きなかったであろうマジックの数々。もし彼らがいなければ、Phil SpectorもThe Beach Boysも出なかったことはないでしょうが、おそらく少し違う形となっていたのは間違いありません。彼らはWrecking Crew（レッキング・クルー）と呼ばれていましたが、劇中ではそのWrecking Crewを”壊し屋”と翻訳している場面がありました。「これまでの慣例を（良い意味で）壊した」ことからこう呼ばれたのでしょう。単に言われたとおりに演奏するだけでなく、アイデアを出し、作品の質を高める貢献までした面々。西海岸のロック・ヒストリーを語る上で、観ておいて損はないと思います。Tommy Tedescoを始め、Hal Blaine、Glen Campbellらはすでに故人となってしまっていますので、その言葉は貴重。

2023/05/23

開幕から下品な事連発！子供なんかと一緒に見ようものなら大惨事の予感！ドアに少年を挟んだ瞬間、私の中の何かが飛んだ。暫しの間笑いの渦に飲み込まれるであろう。展開がまさかのゾンビ物だったけどゾンビはあくまでオマケ。ブーブーご一行様の大冒険の始まりだ！

2023/05/23

話は面白いし結末もホッとする。バンドやってた奴なら何となくわかるわーって言う言動もあって懐かしい気持ちになる。主人公のツレが気弱すぎて面白い。生徒たちは音楽の授業を見る限り管楽器奏者もいたので、どうせなら2.3人管楽器メンバーも追加しても良かったと思う。スリップノットみたいに、ドラムとは別のパーカッション専門パートもいていいかも。管楽器のバッキングも、ギターとベースのR.3rd.5th以外でコードトーンやナチュラルテンション分解しつつ、合間にオブリすれば問題ないだろう。ソロはギター×2、キーボード、管楽器、ベース、ドラム＆パーカッションとみんなでソロ回ししてみんなで盛り上がるシーンがあれば尚良し。そうなるとクラシックロックとは言い難くなるが、できるだけ多数の生徒に演奏に参加してほしかったとは思う。セキュリティとかバンド名付けただけの子とか、もう少し全生徒にスポットライトを当ててほしかった。まあみんなが皆、前線に出たいタイプとは限らないし、裏方向きの子もいるから仕方ないのかね。でももしセキュリティの子が「俺もステージで演奏したいのに」と思ってたら、と想像したら悲しくなる。エンディングは実際に演奏してそうだが、あの年であれならかなり上手い。レスポールの音がしっかりしてた。黒人の女の子もいい声すぎる。あと主人公の持ってる68年？のSGですが、売れば結構な値段つきそう。何度も見たが、見るたびに明るい気分になる映画である。アマチュアバンドのイベントであんなに客が来て盛り上がるアメリカめっちゃ楽しそう。

2023/05/22

実存するロック・ミュージシャンの伝記より、ロックな小説。音楽小説かと思ひきや近未来SFでもあり、いつかは自分も経験したことがあるやうな・・・そんな物語。短くはない物語だが、訳も良く たいへん読みやすいので、現実と自己実現の狭間でモガく音楽家にもぜひ読んでもらいたい。登場人物ひとりひとりがたいへん魅力的に描かれてゐて、この脇役たちを主役にした別の物語も読んでみたい、と思はしむる佳作です。

2023/05/20

今のご時世、コンプラとは？と思える程の鬼教官ぷりを見せるフレッチャー。罵倒に暴力、主人公血だらけなのに何も言わずに演奏させる。教師としても人間としても最低。彼は最高の演奏者を作り出したいというエゴの塊だった。主人公も主人公で、車に追突されて横転した車から血だらけで這いずりだすシーンとか、まんま島本和彦作品かと思わんばかりのめちゃくちゃさ。最後にはフレッチャーが主人公の譜面だけ差し替えて恥をかかせようと画策するも、上出来の演奏に目の色を変え演奏させ続ける。二人の目的が合致した瞬間だった。あまりにも素直にいい音楽を表現したいという意識だけが残るラストだった。そもそも、主人公もパワハラ受けてた元教師の名前を見つけて接近してる時点で、嫌っていたというより求めていたのかもしれない。自分の中にある"甘え"に対して見つめ直せる作品。

2023/05/17